Old traditional house
WORKS - URBAN PROJECT
橋本亭(大阪府箕面市)
CONCEPT
明治43年(1910年)箕面滝道の一の橋のたもとに築造された旧・橋本亭(旅館)は、明治情緒溢れるたたずまいで滝道の賑わいの中心として親しまれてきました。
しかし、平成28年(2016年)に発生した自然災害(崖崩れ)により、巨大な岩が建物背面を直撃し、建物は全面撤去されました。
市民からも再築を望む声が多かったことから、箕面市は旧・橋本亭の復元を計画しました。
現在の法令上、建物規模や構造的な制限により完全復元は困難なことから、解体撤去時に保存された部材を一部再利用し、旧・橋本亭の外観デザインを踏襲しつつも、新たに箕面川に面したオープンスペースを設け、箕面の自然と調和できる開放的な交流空間を計画するなど、新たな要素を加えて明治情緒あふれる外観を再定義・再構築し、令和元年に新生・橋本亭として竣工しました。
景観法第19条に基づく
景観重要建造物に
指定されています
「長きにわたり箕面大滝を訪れる観光客等に親しまれてきた箕面の自然に調和した明治情緒溢れるたたずまいは、明治末期の沿道に料理旅館が立ち並んでいた歴史の面影を今に伝える歴史的価値の高い建築である。」(大阪府箕面市ホームページより引用)として、令和3年に景観法に基づく、景観重要建造物に指定されました。
第40回
大阪都市景観建築賞
「大阪府知事賞」受賞
毎年優れた建築作品及び建築物を中心とした町並みに与えられる大阪都市景観建築賞(愛称:大阪まちなみ賞)の大阪府知事賞を受賞しました。
個性と風格のある美しい都市景観づくりを進めていくために設けられた賞で、100年以上にわたって多くの人々に親しまれた旧・橋本亭の外観デザインを踏襲しつつも、新たに箕面の自然と調和できる開放的な交流空間を計画するなど、新たな要素を加えて明治情緒あふれる外観を再定義・再構築した点が評価されました。
いかに緑を取り入れるかではなく、
いかに潤沢な自然景観の中に違和感なく溶け込むことができるか、に注力しました。
周囲の森林とともに時を重ね馴染み、
かつて旧・橋本亭に住み着いていたヤモリが再び居を構えてくれることを願い、
敢えて木造建築を採用しました。
現代では再現できないと言われる独特の歪みある貴重なレトロガラスの再利用に成功し、
旧・橋下亭で最も特徴的であった対岸からの「一面のガラス格子建具群」の景観、
いわば木製カーテンウォールを蘇らせることができました。
新たに計画した川べりのデッキも、腰壁など視線を阻害する要素を排除することで、
かつて緑に溶け込んでいた旧・橋本亭が、今も変わらぬ佇まいでそこにあると感じられるよう配慮しました。
「橋本亭」の金物サインや、結霜ガラス、吊り灯籠のほか、
多くの木製建具を再生し、建物の命と情景を引き継ぐことも実現しました。
Facts and Figures
物件名 | 橋本亭 |
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所在地 | 大阪府箕面市 |
用途 | 商業施設 |
構造 | 木造 |
竣工年月 | 2020年3月 |